コート紙 4 種類克重(GSM)比較:80g vs 100g vs 120g vs 157g — 印刷会社の実戦ガイド
💡 💡 一言で理解
コート紙 80g / 100g / 120g / 157g の 4 種類は、挺度(縦方向 0.4-5.5 mN·m)、吃墨(1.2-2.2 g/m²)、抜き加工最小 R(1.0-2.0 mm)、ラミネート剥離強度(2.5-6.5 N/cm)の 4 軸で大きな差がある。顧客が克重引き下げを求める際は、印刷会社が 3 点(輸送方法 / R 寸法 / 装箱後総重量)を確認し、メールで記録を残すことで後日の責任問題を回避できる。
2025 年中、無錫の化粧箱印刷会社が顧客(中国の新興コスメブランド)からメールを受け取りました。「化粧箱の克重を 350g から 300g に下げたい。挺度は悪化しますか?」社長は「300g でも十分使える、1 個あたり 0.8 元安くなる」と回答。顧客はさらに「では 250g まで下げたら?」と畳み掛けます。社長は答えに窮しました。
こうしたやり取りは 2024-2025 年に頻発しています。新興ブランドはコスト抑制のため克重を下げたいが、どこまで下げれば品質に影響しないか、印刷会社側で説明できていない。本記事では 80g / 100g / 120g / 157g の 4 種類の低克重コート紙のリアルな違いを徹底解説します。
コート紙の克重はどう分類されるか
コート紙の克重は 80g から 400g まで非常に幅広く、主に 5 段階に分類されます。
- 80-105 g:薄手コート紙。主に取扱説明書の中面、タグ、ステッカーに使用。克重が低く、挺度が劣るため、箱型には使用不可。
- 120-157 g:中厚コート紙。主に化粧箱の表面紙、貼合箱の表面紙、ギフトボックスの内面ページに使用。克重は中程度で、ラミネート後に箱型加工するのに適する。
- 200-250 g:厚手コート紙。主に化粧箱の表面紙(単層)に使用。挺度があり、簡易箱に対応可能。
- 300-350 g:カード厚コート紙。主にプレミアム化粧箱、ギフトボックス外箱に使用。挺度良好で、箱型加工に直接対応。
- 400g 以上:超高克重。主に上製箱の表紙、段ボール貼合面に使用。挺度は極めて良好だが、コスト高。
本記事では 80 / 100 / 120 / 157g の 4 種類の低克重コート紙に焦点を絞ります。化粧箱表面紙の貼合、取扱説明書の中面、タグ、ステッカーで最も多用される 4 種類だからです。
4 種類克重のリアルな違い:挺度 / 吃墨 / 抜き加工 / ラミネート
以下のデータは 2024-2025 年の中国主要コート紙サプライヤー(晨鳴、太陽、金海、華泰)の実測データに基づきます。
| 指標 | 80 g | 100 g | 120 g | 157 g |
|---|---|---|---|---|
| 厚み(μm) | 62-68 | 78-86 | 96-104 | 126-134 |
| 挺度(mN·m、縦方向) | 0.4-0.6 | 1.0-1.4 | 2.2-2.8 | 4.5-5.5 |
| 挺度(mN·m、横方向) | 0.2-0.4 | 0.6-0.8 | 1.2-1.6 | 2.5-3.5 |
| 吃墨量(g/m²、4 色) | 1.8-2.2 | 1.6-2.0 | 1.4-1.8 | 1.2-1.6 |
| 抜き加工最小 R(mm) | 2.0 | 1.5 | 1.2 | 1.0 |
| ラミネート剥離強度(N/cm) | 2.5-3.5 | 3.5-4.5 | 4.5-5.5 | 5.5-6.5 |
| 1 トンあたり価格(2025 年平均、元) | 5500-6500 | 5800-6800 | 6200-7200 | 6800-7800 |
データから読み取れる重要な差異:
- 挺度の差:157g の縦方向挺度は 80g の 10 倍。化粧箱表面紙の貼合時、80g はほぼ箱型を保持できず、腰折れしやすい。
- 吃墨の差:157g の吃墨量は 80g より約 30% 少ない。つまり同じ「濃い色のデザイン」を印刷する場合、80g はより多くのインキが必要となり、逆に滲みや色ぶれが発生する。
- 抜き加工の差:157g の最小 R は 1.0 mm、80g は 2.0 mm。顧客のデザインに R 1.5 mm の形状が含まれる場合、80g では抜き加工が失敗する。
- ラミネートの差:157g のラミネート剥離強度は 80g の 2 倍。80g にラミネートして箱型加工すると、折角部分でフィルムが剥離しやすい。
顧客が「もっと安いのに替えて」と言う前に、印刷会社が確認すべき 3 つのこと
顧客が克重を下げたい場合、印刷会社側から次の 3 つを必ず確認し、後日の責任問題を回避します。
- 「御社の輸送方法は宅配便ですか、混載物流ですか?」。宅配便の落下高は 1.0-1.5 m、混載物流の落下高は 1.5-2.5 m。混載物流では 120g 以上を推奨し、宅配便なら 100g でも許容可能。
- 「デザイン原稿に R 2 mm 未満の形状はありますか?」。ある場合、克重は 120g 以上必須。
- 「製品重量はどのくらいですか、装箱後の総重量は?」。装箱後の総重量が 1 kg を超える場合、克重は 157g 以上が必要。これを下回ると箱底の耐荷重不足で潰れる。
無錫の印刷会社社長は確認しないまま 250g への変更を承諾。後日、顧客が 5 万個の追加発注をかけたところ、「箱底が潰れた」という理由で返品。損失は 18 万元に上りました。
4 種類克重の本当のコスト計算
印刷会社が顧客に代わってコスト計算する際は、「単枚の用紙差額」と「総コスト」を分けて考えます。
- 80g vs 157g の単価差:1 トンあたり 1300-1500 元の差。100 万個の化粧箱(1 個あたり用紙 80g)で計算すると、総使用量は 80 トン。157g から 80g に変更すれば 80 トン × 1500 元 = 12 万元 の節約。
- 返品による損失:80g で化粧箱を作った場合の返品率は約 5-8%、157g は 1-2%。100 万個、1 個あたり単価 10 元で計算すると、5% 返品 = 50 万元 の損失。80g に変更して 12 万元 節約しても、50 万元 の損失で差し引き 38 万元 の赤字。
- ラミネートによる補完コスト:80g にラミネートすると挺度は 20% 向上するが、ラミネートコストが 1 個あたり +0.3 元。100 万個 × 0.3 元 = 30 万元 で、材料費の節約をほぼ相殺する。
この計算を示せば、顧客は「157g から 80g への変更は 12 万元 の節約に見えて、実際には 38 万元 の赤字」ということが分かります。これが印刷会社が顧客に代わって試算する「トークツール」です。
9 次元の思考整理:印刷会社は顧客の克重選定に介入すべきか
印刷会社には境界線の問題があります。顧客が克重を下げたいと言い、印刷会社が「下げない方が良い」と助言したのに、顧客がそれでも下げると指示し、問題が発生した場合、誰の責任か?
答え:意思決定者が主責任を負う。印刷会社が「下げない方が良い」と助言し(メール・微信記録を残す)、顧客がそれでも下げると判断した場合(顧客のメール確認あり)、問題発生時は顧客が主責任、印刷会社は副責任(20-30%)。印刷会社が助言せず、顧客の書面確認も取っていない場合、印刷会社が主責任(60-80%)。
印刷会社には以下を推奨します。
- 顧客から克重引き下げ要望を受けたら、印刷会社は「克重引き下げリスク評価表」(本記事の表のようなもの)を作成し、メールで顧客に送付。
- 顧客から「承知した、それでも下げる」と返信があれば、そのメールを保存。
- 顧客から「御社の助言に従い下げない」と返信があれば、その助言通りに製造。
- 顧客から返信がない場合、製造を開始しない(顧客からの返信を待つ)。
このようにすれば、問題発生時に印刷会社には「助言→顧客意思決定」の完全なメールチェーンが残り、自社を守ることができます。
関連リンク
よくある質問
80g コート紙を化粧箱の表面紙に使えるか?
推奨しません。80g の挺度は低すぎます(縦方向 0.4-0.6 mN·m)。化粧箱の表面紙として使用すると腰折れします。顧客が「薄手の箱型(ギフトカード、タグなど)」を特に希望する場合を除き、80g は取扱説明書の中面やステッカーにしか使用できません。
顧客が「デザインに R 1.5 mm がある、120g は選べるか?」と聞いたら?
選べます。120g の抜き加工最小 R は 1.2 mm なので、R 1.5 mm は問題ありません。一方、100g の最小 R は 1.5 mm で、R 1.5 mm はまさに限界点となり、抜き加工時に亀裂が入る可能性があります。120g 以上を推奨します。
157g にラミネートする場合、マットフィルムとグロスフィルムのどちらが挺度が高いか?
マットフィルムはグロスフィルムより挺度が 5-8% 高くなります。マットフィルム表面には微細な梨地加工があり、接着剤の紙への浸透が深くなり、接着力が強まるためです。顧客が挺度に敏感な場合はマットフィルムを推奨します。グロスフィルムはより光沢感がありますが、挺度はやや劣ります。
顧客が「化粧箱の表面紙は 120g と 157g のどちらにすべきか?」と聞いたら印刷会社はどう答える?
次の 3 つを顧客に確認します。1. 装箱後の総重量は?800 g を超える場合は 157g を選択。2. 輸送方法は宅配便か物流か?物流の場合は 157g を選択。3. デザイン原稿の最小 R は?1.5 mm 未満なら 157g を選択。この 3 問に答えれば、顧客はほぼ自分で選定できます。
克重と厚みは同じものか?
違います。克重は単位面積あたりの紙の重量(g/m²)、厚みは物理的な寸法(μm)です。同じ克重でも、メーカーによって厚みが 10-20% 異なることがあります(密度・締まり具合による)。印刷会社が克重だけで調達すると、印刷品質がばらつきます。印刷会社は調達時に「克重 ±3%」と「厚み ±5%」を同時に契約条件で明記することを推奨します。
顧客が「この化粧箱ギフトは 500g の製品を入れる、120g で十分か?」と聞いたら?
使えるが最低限、157g を推奨します。500g の製品に取扱説明書や緩衝材を加えると、装箱後の総重量は 580-620g となり、120g の表面紙は耐荷重の限界点です。予算が限られている場合、120g でも使えますが、輸送時の破損率は 157g より 3-5% 高くなります。
社長が「印刷会社は複数克重の紙を備蓄すべきか?何を?」と聞いたら?
印刷会社の 90% の発注は 120g と 157g の 2 種類に集中しています。この 2 種類を各 5-10 トン備蓄してください(月産能力による)。80g と 100g はニッチな案件なので、注文を受けてから調達してください(3-6 か月保管すると紙が吸湿し、挺度が低下)。300-400g もニッチなので、注文に応じた調達で構いません。
