包装用紙の含水率は環境の勘定でもある:梅雨に壊された8万個の箱
💡 💡 一言で理解
梅雨時の大量手直し事故を手がかりに、紙の含水率が保管・印刷・後加工で崩れる箇所を整理し、中小工場でも実行できる対策を示します。
2023年の梅雨は特に長く続きました。6月半ば、当社の現場には月餅箱の半製品が8万個積まれていました。白板紙に灰板を裱合し、印刷とラミネートを終えて貼り箱工程を待つ状態です。このロットは結局6割近くが手直しとなり、損失はその月の決算に残りました。見栄えの良い数字ではありません。
振り返ると、問題はどの工程にもなく、検査票にはまず書かれない一点にありました。入荷時に7.8%だった含水率が、貼り箱機に乗る時点で10%を超えていたのです。
紙は生きている:常に空気と水分をやり取りする
紙の主体はセルロースで、多数の水酸基を持つため本質的に親水性です。湿度が高ければ吸い、乾いていれば放出します。環境に応じて含水率が変わるのは必然で、工場にできるのはその変化を緩やかに、そして均一にすることだけです。
変化が不均一であることこそが本当の脅威です。積まれた紙は外周から先に吸湿し中央は元のままなので、外周の繊維が横方向に膨張して波打ち、いわゆる波状縁になります。逆に冬場、温風の入る現場では紙の縁が先に失水して収縮し、中央が盛り上がる締まり縁になります。
この2つは印刷機上で異なる形で現れます。波状縁は見当のずれ、とくにくわえ方向の見当不良として出て、機長が調整するほど混乱します。締まり縁は給紙時のばたつきや角折れを招きます。さらに打抜と貼り工程では、含水率の高い紙は罫入れ後の戻りが大きく糊の乾きも遅いため、成形後2日ほどで変形します。逆に乾きすぎた紙は折り線で割れます。濃色の大面積印刷にラミネートを重ねると表面が塞がれて繊維がすでに脆く、一度折っただけで白く裂けます。
当社の月餅箱は両方に当たりました。倉庫で吸湿した紙が現場の空調で表層だけ乾かされ、貼り上げて3日目から角が一斉に反り、蓋が閉まらなくなったのです。
制御を失う3つの箇所(発生順)
1つ目は保管です。多くの工場の紙倉庫は大きな現場の一角で、床は嵩上げされておらず、紙山は直置き、壁側は外壁に接しています。コンクリート床からの湿気と外壁の結露が最も多い水分源です。ある同業者の方法は素朴です。すべての紙山をパレットで15センチ以上嵩上げし、壁から30センチ離し、山と山の間に人が通れる隙間を空ける。この3点だけで梅雨時の廃棄が半減しました。加えて、製紙メーカーの防湿包装は使用直前まで開けないこと。入荷時に手間を惜しんで全部剥がす工場が多く、それは紙を1か月早く外気にさらすのと同じです。
2つ目は調湿です。倉庫から現場へ移すと温度も湿度も変わるため、先に印刷現場の環境に置いて平衡させてから機械に載せるのが正しい手順です。業界では吊り干しや調湿と呼ばれ、温度差が大きいときは1〜2日置いても長すぎることはありません。納期に追われる工場は倉庫から出してそのまま機械に載せますが、これは今まさに激しく吸放湿している紙を印刷機に送り込む行為です。
3つ目は工程間です。印刷からラミネート、ラミネートから打抜、打抜から貼り箱、それぞれの待ち時間が紙の状態を変えます。とくにラミネート後は片面が塞がれ、紙はもう一方の面からしか呼吸できないため、両面の含水率差で紙自身が巻き上がります。片面ラミネートの板紙がとくに反りやすいのはこのためです。対策は難しくありません。ラミネート済みの半製品はシュリンクで山ごと包むか、少なくとも防湿シートを掛け、現場に開けたまま夜を越させないことです。
恒温恒湿設備がなくてもできること
本格的な恒温恒湿の現場は、多くの中小印刷工場には現実的ではありません。設備が高いというより改修と電気代が重いからです。ただし、ほとんど費用のかからない対策がいくつかあります。
温湿度記録計を数台買うこと。紙倉庫に1台、印刷現場に1台、製品倉庫に1台、グラフが出せるもので1台2〜3百元です。グラフがあれば事故の検証に証拠が残り、倉庫がどの時間帯に崩れるかも見えます。さらに携帯型の紙水分計を1台用意し、入荷時と機械に載せる前に測定して流動票に記録します。合わせて2千元に満たない支出で、私が見てきた中で最も費用対効果の高い投資です。
次に排産の習慣です。梅雨時は反りに敏感な仕事(大面積の濃色、片面ラミネート、貼り箱の外装紙)をできるだけ湿度の安定した時間帯に置き、豪雨の翌朝には入れないことです。仕掛品を長く寝かせないことも重要で、1週間を超える仕掛品はほぼ確実に問題を起こします。
最後は顧客に正直に伝えることです。ある時、納期を急ぐ顧客から調湿中の紙をそのまま機械に載せるよう求められました。水分計の数値を撮影して送り、いま刷ればどうなるかを説明したところ、返事はこうでした。「では2日待つ。遅れてもいいから、もう手直しはごめんだ。前回は社長にこっぴどく叱られた」。どんな技術説明よりも説得力がありました。
この勘定を環境の側から見る
手直しを環境問題として見ると、計算はより明快になります。8万個の6割を手直しすれば、4万個分以上の紙、インキ、フィルム、糊が無駄になり、再度の機械立ち上げの電力と人件費、そして廃材の処理費が加わります。これらはどのESG報告の削減項目にも現れませんが、確かに二重に燃やされた資源です。
これに比べると、再生紙への切り替えや水性ニスの採用で減らせる量は、手直し率を2ポイント下げることに及ばない場合が少なくありません。顧客と環境の話をするとき、私はよくこう言います。最も環境に優しい包装とは、一度で正しく作り、作り直さずに済んだその版です。
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よくある質問
包装用紙の含水率はどの範囲に管理すべきですか。
一般的なオフセット用紙の出荷時含水率は6〜8%程度ですが、具体的には製紙メーカーの技術規格に従います。重要なのは特定の数値を覚えることではなく、機械に載せる時点で現場環境と平衡していること、そして紙山の内外で状態が揃っていることです。同一ロット内のばらつき(波状縁や締まり縁)の方が、絶対値のわずかな高低より問題になります。
波状縁と締まり縁はどのように生じますか。
波状縁は紙山の外周が吸湿して膨張し中央が変化しないために縁が波打つもので、高湿環境や防湿対策のない保管で起こります。締まり縁は縁が先に失水して収縮し中央が盛り上がるもので、乾燥した現場や強制換気のある現場で見られます。いずれも湿度の高低そのものではなく、水分変化の不均一に起因します。
ラミネート後の板紙はなぜ反りやすいのですか。
ラミネートで片面が塞がれると、紙は未加工面からしか空気と水分をやり取りできず、両面に含水率差が生じて乾いた面の側へ巻きます。片面ラミネートの板紙でとくに顕著です。対策は、ラミネート後に山ごとシュリンクや防湿シートで包む、工程間の滞留時間を短くする、必要なら両面処理で張力を釣り合わせることです。
恒温恒湿設備がない場合、低コストで効果的な対策は何ですか。
優先順位は4つです。紙山を床から15センチ以上嵩上げする。壁から30センチ離し通路を確保する。製紙メーカーの防湿包装を使用直前まで開けない。紙を生産環境に移して調湿してから機械に載せる。そして半製品を開けたまま夜を越させない。さらに温湿度記録計と携帯水分計でデータを残せば、支出は小さく効果は明確です。
罫割れは必ず紙の問題ですか。
そうとは限りません。主な原因は少なくとも3系統あります。含水率が低すぎて繊維が脆くなっている場合、罫線の刃型パラメータが板厚と合っていない場合(罫幅が狭すぎる、深すぎる)、そして濃色の大面積印刷にラミネートが加わり表層が塞がれて伸びが落ちた場合です。切り分けは、まず含水率を測り、次に罫の条件を確認し、最後に印刷と表面加工を見る順序が実務的です。
梅雨時の排産で実務的な助言はありますか。
反りや見当に敏感な仕事(大面積の濃色、片面ラミネート、貼り箱の外装紙)を湿度が激しく動く時間帯から外すことです。とくに豪雨の翌朝は慎重に。仕掛品の滞留は短く保ち、1週間を超えないようにします。納期の厳しい案件では、調湿に必要な時間を事前に顧客へ説明してください。実測データを示す方が口頭の説明よりはるかに有効です。
